男の子は必ずといっていいほど鉄道に興味を持つ。
今40〜50歳代以上の人だったら、きっと蒸気機関車の運転手(機関士)に、それより若い人だったら、新幹線や電車の運転手(運転士)になりたい、と思ったことのある人はたくさんいると思う。 物心がついたときに見たり乗ったりして体験した鉄道は、人々の心の中に幼児体験として根深く染み込んでいる。
機関車や電車がリズミカルな音を響かせながら走る姿や、車窓に流れる景色は大人になっても魅力があるものだが、子供心にはそれ以上に鮮烈なインパクトを与える。
しかし、中学、高校と進むうちに鉄道に対する思いが次第に薄れていく。 この年代に鉄道が好きな人は、そのま
ま鉄道マンとしてプロの道を歩むのかもしれないが、多くの人は、興味の対象が音楽や映画、バイクや車、ファッションなどと多様化していく。
このころには、鉄道ファンは幼児じみたダサい趣味と感じ、電車は好きだがそれを口にするのを恥ずかしく思う人も多い。 それが大人になって、何かのきっかけ、それが偶然電車の運転室から前方の風景や運転士の姿を目にしたときや、関係書籍を読んだときなど、理由は人それぞれだと思うが、突然、幼少時代の記憶が蘇り、鉄道への思いが沸きあがってくることがある。このとき時間的、経済的、気持ち的に余裕のある人は鉄道ファンとして大プレークすることになる。鉄道を趣味としている大人の多くはこうした人が多いのではないだろうか。
鉄道趣味というのは観察することが多いので、どちらかというと地味な趣味で、みんなでワイワイすることが多い人には不向きだと思うが、だれでも孤独な一面を持っているので、逆にいえばだれでも鉄道ファンになり得るものなのかもしれない。
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