2270系は、元々南海高野線で急行用車両として使用されていたズームカー22000系を貴志川線用として改新された車両である。
高野線で使われていた22000系は高野線に新型ズームカー2000系を投入することになったことにより、高野線(岸里玉出-汐見橋間)用、各支線用(高師浜線、加太線)の2200系と、貴志川線用2270系の3仕様
に改新されたが、貴志川線用2270系車両は他の車両と大きく仕様が異なっている。
老朽化した貴志川線の近代化計画に基づき、22000系12両を支線用車両として平成5年度下期から
順次更新修理され、新塗装と社章に代わりCI章の取り付けなどが行われ、管理の容易化のために形式を2270系へと変更された。
貴志川線専用の2270系は、ワンマン化対応など実施し、1995年2月より順次貴志川線で営業運転を開始し、同年4月より2270系のみによるワンマン運転に使用されている。
22000系時代は難波方からcM1-Mc2のオールモーターの構成であったが、貴志川線用2270系では貴志方からcT-Mcの2両編成となりcM1のモハ22001形奇数車はクハ2701形、Mc2のモハ22001形偶数車はモハ2271形に変更され、(貴志)クハ2701形-モハ2271形(和歌山)の編成となっている。
パンタグラフはモーターのない貴志寄りのクハ2701形に2台搭載されている。
22000系からの主な変更点 |
- 600/1500V複電圧対応の制御装置に変更。連結器も変更され電気連結器、中間連結器箱、連結解放開閉器を撤去。
(貴志川線の架線電圧は600Vだが2270系は600/1500V複電圧対応になっており、南海線内も自力回送が可能になっている。)
- 貴志川線に列車無線を導入することになったが、高野線、南海線とは周波数が異なるため貴志川用無線機を新設し、列車無線アンテナも22001形時代から変更された。
- 前面の中央貫通扉を撤去して非貫通三枚窓となり、中央窓下部に車両番号が表示されている。
外板側面にあった列車種別行き先表示器が撤去され前面部だけとなり、その下にはワンマン表示器も設置された。
- ワンマン運転に対応の関係で乗務員室寄りの扉の位置を乗務員室直後に変更するために、乗務員室寄りの扉だけが両開き引戸から片開き引戸に変更されている。
- 室内では乗務員室と客室の仕切部の客室中央部に自動両替機付き運賃箱、上面に運賃表示器が取り付けられ、連結部寄りの扉近くには整理券発行機が設置されている。
- 貴志川線では普通列車だけの運用であるため、前面の列車種別表示灯は向かって左側のみ点灯している。決して電球切れではない。
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- 貴志川線2270系編成表
編成番号 |
列車番号(和歌山側-貴志側) |
2271F |
モハ2271-クハ2701 |
2272F |
モハ2272-クハ2702 |
2273F |
モハ2273-クハ2703 |
2274F |
モハ2274-クハ2704 |
2275F |
モハ2275-クハ2705 |
2276F |
モハ2276-クハ2706 |
- 主要諸元表
項目 |
クハ2701 |
モハ2271 |
製造 初年月 |
'70年9月 |
'70年9月 |
車両数 |
6 |
6 |
自重 |
33.0t |
35.5t |
最大寸法
(mm) |
長さ |
17,725 |
17,725 |
幅 |
2,740 |
2,740 |
高さ |
4,000 |
3,950 |
台車 |
FS-17A |
FS-17A |
集電装置 |
PT-4803-A
2台 |
- |
空気圧縮機 |
C-1000PR |
- |
電動発電機 |
TDK -3725-A
75kVA |
- |
主電動機 |
- |
TDK-820-E
300V-70kW 4台 |
歯車比 |
- |
83:12 |
制御装置 |
MMC-LHTB-20E |
MMC-LHTB-20E |
制動装置 |
HSC |
HSC-D |
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