貴志川線の全駅紹介
 

 貴志から和歌山に向かう上り電車に乗りながら、30分間の各駅探索にお付き合いください。なお貴志川線は起点が和歌山で終点が貴志です。

 1201形が走っていたころは、その車両によく似合う木造作りの古くさい駅舎が多かったが、南海電鉄時代の1995年以降各駅でリニューアル工事が行われ古臭ささが残っている駅も少なくなってしまい、少し味気ない印象に。 1996年初めに西山口駅の古い駅舎が取り壊されホームのみ鉄骨製の駅に変貌したのを足がかりに、その後大池遊園、竃山駅ではホームの屋根が新しくなった。 1997年3月には山東駅のリニューアル工事により古い駅舎も取り壊され、西山口駅によく似た作りとなり、1998年には大池遊園に残っていた古い駅舎も取り壊され、その後吉礼駅も簡素な駅になった。

 2006年4月和歌山電鐵になってからは、貴志駅と伊太祁曽駅の改札業務が廃止となり、降車時に他の無人駅と同じように前寄り車両で精算するようになっている。貴志駅の券売機も撤去されている。 なお、貴志駅での回数券は隣の売店で委託販売されるようになった。

 
14: 貴志 13: 甘露寺前 12: 西山口 11: 大池遊園
10: 山東 09: 伊太祁曽 08: 吉礼 07: 岡崎前
06: 交通センター前 05: 竈山 04: 神前 03: 日前宮
02: 田中口 01: 和歌山  
(番号は整理券番号。貴志駅と和歌山駅では発券なし)
駅員がいる有人駅 無人駅 廃止になった駅


貴志(きし) 那賀郡貴志川町神戸803
貴志駅

 貴志川線の終着駅。片面ホームと1線の留置線ある。
南海時代は待合室に2台の自動券売機と券売窓口があったが、わかやま電鉄になって撤去され、無人駅になった。なお回数券については隣の売店で委託販売される。壁には東山東幼稚園の園児の描いた「みどりのでんしゃさようなら」が飾られており、これが趣のあるものなので一度ご覧いただきたい。

 駅前には和歌山を除く駅では唯一のタクシー乗り場と売店が隣にあり、早春の季節には、わかやま電鉄のシンボルマークにも選ばれた貴志川町の特産品イチゴ狩りの観光客も多い。

 駅から徒歩数分のところを貴志川が流れ、そこに架かる諸井橋付近の国主峡一帯は県立公園にも指定されていて、休日にはバーベキューを楽しむ家族連れで一帯の公園は賑う。ここでは、ホタルの養殖が行われており夏の季節には屋形船も営業され、お盆には毎年花火大会が行われ夏の風物詩を味わうことができる。また少し上流の海南市との境に貴志川町のホタルの養殖場があり、6月上旬には公開され楽しむことができる。

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甘露寺前(かんろじまえ) 那賀郡貴志川町長原580
甘露寺前駅 左にカーブしながら軽い上し坂を越えしばらく走ると甘露寺駅に到着し、扉は右側が開く。
 昔は行き違いをしていたこともあり島式ホームの跡が残っているが、現在は片面ホームになっている。
 昭和40年代に駅の工事で一時期現在の線路向かいに仮設のホームを使用していたという記憶がある。昭和50年代までは駅員が配置されていた。

 駅から少し歩くと貴志川高校があり、通学時間帯には和歌山方面からの通学にも利用される。 一般に貴志川線の利用客は、朝は和歌山に向い夕方は逆の流れが原則で、高校生の利用はこれとは逆方向、和歌山から郊外に向けてであるので、多少はバランスが取れている状況だが、学生の利用がなくなる夏休みなどの長期休みの期間は、逆方向は閑散としている。
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西山口(にしやまぐち) 那賀郡貴志川町長山53
西山口駅

 甘露寺前を発車し少し左カーブにを過ぎると県道と平行し県道を走る車との並走が始まる。しばらく直線が続くが、途中にある西山口駅に電車は減速し停車する。扉は左側が開く。

 西山口は平成8年はじめに新築の鉄骨駅に建て替えられ、2270系の似合う現代風の作りに変身した。

  西山口 駅の近くには長山団地と呼ばれる結構大きな住宅街があり、和歌山市内や大阪方面に向かう通学・通勤客で乗降客数が多 い。朝の通勤時間帯では、着席できないのを避けるため、貴志行きに乗り折り返して乗車している者も見受けられるが、伊太祁曽-貴志間は終日ワンマン運転のため大目に見られているようだ。

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大池遊園(おいけゆうえん) 那賀郡貴志川町長山280
大池遊園駅 写真は1998年の撤去前の古い駅舎で、今は新地になっている。

 西山口駅を出てしばらく県道と併走すると、道路は新しくできた新県道と別れるが、線路は旧県道に沿って右に大きく曲がり大池遊園駅に到着する。地元の人は「おいけゆうえん」と呼ぶため、1999年に交通センター前駅が新設されたときにあわせ「おいけゆうえん」に変更された。

 島式ホームの片側のみの使用で扉は左側が開く。昭和50年ぐらいまでは実際に行き違いも行われていたのを記憶しているが、行き違いがなくなった時点で線路などの設備は完全に撤去されている。
 昭和40年代までは、桜の季節など乗降客が多いときには臨時で駅員も配置されていたが、今は完全な無人駅で、1998年になって古く残っていた駅舎も取り壊された。跡地は現在更地状態で隣接していた売店が現在も細々と営業を行っている。

 貴志川線が貴志駅まで延長された当初、昭和20〜30年代まで(詳細時期不明)の間、大池遊園駅の場所は200mほど和歌山寄り(現在の花田屋さんの駐車場線路向かい側)にあった。

 大池遊園は桜とツツジの名所で、南海貴志川線の写真には必ず登場する最高の撮影地となっている。
 桜の季節には花見客の利用で、周りの道路もかなり混雑する。駅名にもあるように周囲約4キロの大きな池があり、これは根来寺の覚はん上人が造成したと伝えられるかんがい池で、季節限定でボート営業も行われ、和歌山市近郊の行楽地として休日には賑わいをみせる。
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山東(さんどう) 和歌山市永山38
山東永山(さんどうながやま)
山東駅 写真は1997年の改築前の旧駅舎

 大池遊園を発車すると大池を渡るため橋梁を2つを越え、右に大きく曲がりみかん山の急勾配を徐行して下ると平坦線になり、しばらくすると先の県道と平行する。
 電車はそのまま惰性運転すると山東駅に到着し、左側扉が開く。
 近年バイパスができ県道からの連絡はよくなったが、旧道の時代には駅に行くには農道のような細い道しかない状態で、車でどうやって駅に行くのかは地元の人ぐらいしかわからないような状態だった。これは山東駅に限ったことでなく貴志川線のほとんどの駅について言えることである。現在でも山東駅周辺はミカン畑で閑散としており、痴漢に注意の看板が立てられている状態 。
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東山東(ひがしさんどう)
東山東駅 写真はかつて東山東駅があった場所。
 昭和10年代前半に生まれた人でも東山東駅が存在していたことは記憶にあるだけで、実際に停車していたのを知らないようです。

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伊太祁曽(いだきそ) 和歌山市伊太祁曽73
伊太祁曽駅 平坦線を進むと場内信号が見える。警戒25km/hでスプリングポイントを進むと、初めての行き違い駅である伊太祁曽駅の島式ホーム左側に到着する。
 伊太祁曽には検車区(和歌山検車区伊太祁曽支区)があり貴志川線の全般検査、重要部検査、月検査、列車検査のすべてを施工する。昼間時間帯には通常3編成が使用されるため、余った車両はここに留置される。ほとんどの時間帯で行き違いが行われる。
 平成12年10月から日前宮、岡崎前の無人駅化に伴い、貴志川線の中間駅では唯一の有人駅となっている。わかやま電鉄になって集改札が廃止されている。

 駅より南に100mあまりのところに木の神・五十猛命(いたけるのみこと)を奉る伊太祁曽神社の一の鳥居が見える。伊太祁曽神社は貴志川線沿線にある竈山神社・日前宮とともに「三社まいり」の一つに数えられる。

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吉礼(きれ) 和歌山市吉礼61
吉礼駅 伊太祁曽駅を出ると右側に新しくできたバイパス道路を見ながら大きく左方向に外れ、小さな川に沿って田んぼの中を走り抜けると吉礼に到着する。扉は右側が開く。
 少し離れているが近くに菖蒲丘団地があり、結構な乗降客がある。
 ワンマン運転がされるまでは、吉礼から和歌山の間だけ営業係が乗務して車内券売を行っていた。伊太祁曽-和歌山間乗務でないのは、吉礼での乗降客が多い上に無人駅であるためで、営業係は吉礼で降車してホームで乗車券回収業務と券売業務を行っていた。ワンマン運転が開始された現在でも混雑時間には、ほぼ同様に営業係がこの区間を乗務しており、その区間はこの時間帯のみすべての扉扱いがある。
 平成10年3月上旬には古くからの小さな駅舎も取り壊されホームだけの駅に変わっているが、ホームの和歌山よりにある錆で赤茶げた駅名表示板だけが歴史を垣間見ることができる。

 ずっと昔、この地は熊野詣での道筋にあたり繁盛したと云われている。
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岡崎前(おかざきまえ) 和歌山市相坂578
岡崎前駅 平成12年10月から無人化された。
 行き違いのできる島式ホームで、朝夕の伊太祁曽駅折り返し列車運行ダイヤ時だけ行き違いが行われる。
 近くに和歌山東高校が新設されたときに、輸送強化のため1201形3両編成による運行が行われた時期もあった。近年、信愛女子短期大学も移転され、学生の利用が結構多い。
 
 現在の岡崎前駅は簡略化された駅舎になり、写真の建物は取り壊されている。
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交通センター前(こうつう せんたー まえ) 和歌山市西
交通センター前駅 1999年5月に開業した南海貴志川線ではもっとも新しい駅。交通センターの最寄り駅で、すぐ裏手の交通公園には市電が静態保存されている。
伊太祁曽方向を見ると直線線路で岡崎前駅が見える。
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竈山(かまやま) 和歌山市和田1193
竈山駅 岡崎前を出ると田圃の中を走り、交通免許センターを左に見ながら走ると竈山に到着する。かつては行き違いができたようで島式ホームの跡があるが、現在は線路向かいの片面ホームを使用している。扉は左側が開く。
 竈山駅は産婦人科病院の裏口を出るとちょうど目の前にあり、ホーム向かいには県道が走っていて車からはよく見えるが、駅に行くにはこの病院を迂回するように狭い路地を通っていかないとたどり着かない。

 駅名となった竈山の由来は、駅から南側へ600mほど行くと彦五瀬命竈山墓があり、その南側一帯が竈山神社の神域となっていることによる。
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神前(こうざき) 和歌山市神前396
神前駅 右にカーブをとり直進すると片面ホームの神前に到着する。扉は右側が開く。

 かつて1201形3両編成が走るためのホーム拡張工事のため、一時期現在の線路向かいの仮設ホームが使われていたこともあるが、現在は3両編成もなくなり仮設ホームの跡も見ることはできない。
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津秦(つはだ)
津秦駅 昭和12年頃の写真です。ちょうど津秦天満宮の鳥居の横あたりに津秦駅があったようです。
ただし、当時の路線図にも記載されない、便宜上乗降を扱っただけの駅だったということです。
(写真は津秦天満宮 田中宮司所有のものをトリミング、情報提供 奥 重貴氏)
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日前宮(にちぜんぐう) 和歌山市有家88
秋月(あきづき)
日前宮駅  神前を直進してしばらくすると遠方信号機があり左にカーブを曲がると場内信号機の先に行き違いのできる島式ホームの日前宮に到着する。
 近くに同名の神社があり初詣には賑わう。日前宮は県下第1の大社で、正式には日前(ひのくま)・国懸(くにかかす)神宮という。この名が示すとおり、1つの境内に2つの神宮が奉られており、向かって左(西側)が日前宮で右側(東側)が国懸神宮である。

 県立向陽高校が近くにあり、貴志・和歌山両方面から高校生の利用がある。

 ワンマンダイヤになってからは昼間の通常ダイヤでも行き違いが行われる。平成12年10月から無人化された。
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田中口(たなかぐち) 和歌山市美園町5丁目93
田中口駅  日前宮駅のスプリングポイントを越え少しいくと、左側に田中口駅に到着する。古い住宅街で周辺の道路も狭い。

 ホームの先端からはJRきのくに線の線路が垣間見える。1994年度の1日平均乗降客数は80人余りで貴志川線の中では最も少ない。
 写真は1996年当時の駅舎で現在は取り壊され、簡素化された駅になっている。
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和歌山(わかやま) 和歌山市美園町5丁目2
東和歌山(ひがしわかやま)
和歌山駅 田中口を出るとすぐJR紀勢線(きのくに線)の線路が迫ってくる。そのまま平行して走るとJR線からの亘り線があり、終着駅和歌山に到着する。ホームは片面ホームで電留線が1本ある。
 JR和歌山駅に同居し9番線ホームが南海貴志川線専用になっているが、駅名は正式には南海和歌山駅となっている。ワンマン運転がされるようになってからは、ホームからJR改札に行くための地下道の階段の手前の貴志川線用の改札で切符は回収されるようになった。無人駅での乗車時に発行される整理券とともに料金もここで精算される。南海貴志川線上のすべての精算業務がここで行われ、切符大の精算済み証が手渡され、JR改札口で回収される。
 JR西日本では自動改札の導入に伴い、キセル乗車防止のため入場駅や時刻などの情報が定期券に書き込む必要があるため、9番ホーム改札には阪和線乗り換え客用に自動改札機を設置している。
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大橋(おおはし)
 1916年和歌川に架かる大橋の東側に位置する大橋駅と山東(現伊太祁曽)駅間で山東軽便が開通した。
 1922年の国鉄紀勢西線開通にともない中之島−田中口間が廃止となる。
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中ノ島(なかのしま)
 旧和歌山(現紀和駅)で官鉄(国鉄)に連絡するために1917年現紀和と紀伊中之島の中間付近にできた駅。
 1922年の国鉄紀勢西線開通にともない中之島−田中口間が廃止となり、現在の和歌山(旧東和歌山駅)の路線となる。

※現在JR紀伊中ノ島、宮前駅と連絡する場合に乗り継ぎ割引があるのはこのためであると推測される。
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 ご乗車お疲れさまでした。和歌山に到着です。お忘れ物のないようお降りください。JR阪和線天王寺方面、きのくに線御坊白浜方面・和歌山市方面、和歌山線橋本五条方面はお乗り換えです 。